07. 二つの選択 −帰還かあなたか−
「はぁ・・・」
あかねは、ため息をつく。
「どうしたらいいんだろう」
龍神の神子である彼女は、とても悩んでいた。
それは、その日の朝に龍神に告げられた一言からだった。
―――――お前はもう、現代に帰るのだ
「どうして・・・」
突然の龍神の言葉に、あかねは戸惑う。
「どうしてなの・・・」
戸惑う彼女にに、龍神はこう続けた・・・・・
今帰らなければ、もう二度と現代には帰れないという事。
そして、ここに残る事も許されると言う事・・・を。
「私は・・・どうすればいいの?」
あかねは、自分の心に問い掛ける。
「どうしたいの・・・」
龍神の言うように、現代へ帰るか。
それとも・・・愛しい人の居る、この京に残るか・・・・・
「・・・」
言葉を失ってしまうほどに、あかねは悩んでいた。
その時だった・・・・・
「あかね」
一人の男が、彼女のの元へとやって来た。
「泰明さん」
そう・・・あかねの愛しい人とは、泰明の事だった。
「何故泣く」
愛しい人の姿を見て、あかねは泣き出してしまった。
そんな彼女に、泰明は少し驚いた様な顔で問うた。
「私・・・もう、どうしたらいいか分からないんです」
あかねは、今朝の出来事を泰明に話した。
「そうか・・・」
泰明は納得したように、呟いた。
「私、ずっと泰明さんの側に居たいんです」
でも・・・と、あかねは続けた。
「永遠に帰れないのも辛いんです」
あかねの涙は、頬を伝って落ちて行った。
「泣くな」
泰明は、あかねの涙を拭う。
「私には決められない・・・自分で決めるんだ」
泰明は、そっと・・・あかねにそう告げる。
「泰明さん・・・」
あかねは泰明の腕に抱かれながら、必死で考えた。
「・・・」
そんな自分を、黙って見つめている泰明を見た彼女は決めた。
「泰明さん・・・私、決めました」
「そうか・・・」
泰明の、その優しく自分を見守る姿に・・・あかねは強く決めた。
「私は、泰明さんの居るこの京に・・・残る」
そう固く心に決めた。
【完】
はい。なんとなく書きました。泰明さんに決まったのも途中です。
もう少しで、悲恋にもなりかけ・・・な感じでした(041109)