10. 憂い −あなたを想えば−




「はぁ・・・」


今は、吐く息も白くなるようなほどに寒い真冬。
永泉のついたそのため息は、室内に居ても真っ白になった。


「神子」


永泉はあかねの事を想っていた。


「あっ」


その時、永泉はふと庭を見て声をあげた。


「雪・・・」


寒い冬の空からは、雪が花びらのように舞い落ちている。


「美しい」


永泉は、庭に降りてその光景を近くで目にした。
その何とも言えないあまりの美しさに、見惚れてしまう。


「あなたも・・・」


永泉は、何かを言いかけ・・・そして、やめた。
自分は何故に独り言など言ってしまっているのだろう・・・そう思ったからだ。


「・・・・・」


永泉は黙ったまま、舞い落ちる雪を見つめていた。
その時、先程の続きをそっと呟いた・・・・・


「あなたも何処かで、この雪をみているのでしょうか・・・」


あかねへの募る想いが、溢れてくる。
それは抑える事が出来ずに、言の葉となって・・・・・


「あなたを想えば想うほど・・・」


言の葉は溢れつづける。


「・・・心苦しくなっていく」


愛しさが、彼の心を強く締め付けていた。


「・・・・・」


無言になった後、手のひらに舞い落ちた淡い雪に向かって言った。


「私の想いを伝えに・・・今、あなたのもとへ参ります」


その淡い雪の中には、はっきりとあかねの姿が映っていた。
永泉は愛しき人への想いを胸に抱え・・・前へと進み始める。


【完】






きゃ〜っっ。す、すみません。あんまり良いのが思いつかなくて・・・。
結局こんなんなってしまった。こんな感じでもOKですか??(041126)
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