16. しるし −想いの形−
寒い冬の夕暮れ、一人の少年が歩いていた。
「神子は、受け取ってくださるでしょうか・・・」
その少年は、ある門の前で立ち止まる。
「はあ・・・」
少年の吐くそのため息は、真っ白になった。
「永泉さん」
その時、自分の名を呼ぶ少女の声が聞こえた。
「・・・神子」
永泉は、少し驚いたように少女を見つめる。
「どうしたんですか?」
少女が尋ねた。
「い、いえ・・・神子にお渡ししたい物がありまして」
永泉はそう言って、布で包まれた小さな贈り物をあかねに手渡した。
「ありがとうございます」
少女は御礼を言ってその包みを受け取り、中を開いた。
「わあ・・・」
その贈り物を見た少女は、声をあげた。
「綺麗」
包みの中に入った、贈り物・・・それは、髪飾りであった。
「私が貰ってもいいんですか」
少女は不安そうに、永泉に尋ねた。
「はい。受け取ってくださるだけで、私は・・・」
永泉は少女をそっと見つめ、微笑みかける。
「・・・あなたに似合うと思ったのですから」
これが、私のあなたへの想いのしるしになる。
永泉はそう心にに強く想った・・・・・
【完】
永泉の想いのしるしが髪飾りだ・・・って話になりました。
なんか、読みにくいような気もしますが、どうなんでしょうね(050113)