25. 月光 −二人を照らすもの−
月明かりが、二人を照らす。
「明るいですね・・・」
あかねは自分の隣にいる永泉に、そっと呟く。
「そうですね」
永泉は、そう答えた。
「本当に明るい・・・」
いつも見ている満月より、一段と明るく見えた。
その月の明るさに、あかねはただただ見入っていた。
「・・・きっと」
その時、永泉があかねの方を向いて何かを言いかける。
「きっと、あなたといるから・・・」
永泉の言葉を、あかねは無言でそっと聞く。
「こんなにも明るい月光がさしているのだと思います」
想いの籠った永泉の言葉に、あかねの表情は大きく変化した。
彼女の頬は紅色に染まり、照れた様子で永泉を見つめる。
「・・・嬉しいです」
あかねは今の気持ちを素直に言った。
「永泉さんが、そんな風に言ってくれて・・・本当に嬉しい」
そう言って照れてしまったあかねは、永泉から瞳をそらす。
「神子・・・」
永泉は、あかねの手をそっと握った。
「永泉さん・・・」
そらした瞳を、元に戻した。
「この先、あなたと一緒に幾度もこの月が見れるといいですね」
永泉は、あかねにそっと言った。
「はい」
あかねも、そっと答える。
二人を照らす月の光が、一段と明るくなった。
それは、二人の恋を祝福している様にも見えた・・・
【完】
書きました。永あか書くの、少し久しぶりかも・・・。
二人の愛の力が、月の光を強くしております。な話でした。(050319)