29. 恋煩い −あなたしかみえない−




初めてお会いした時から、あなたが・・・好き。


「この想いは、許されないのでしょうか?」


あなたを一目見た時に、私の胸は強く高鳴った。
愛しい・・・愛しい・・・想いだけが、溢れていく。
伝えたい・・・伝えたい・・・私のこの胸の想いは成長を続ける。


「神子、あなたにお話が・・・」


私は、想いを伝えることを決意した。

「なんですか?」


あなたは、清らかな笑顔で私に微笑みかける。
その姿が、とても眩しかった・・・・・


「・・・い、いえ。なんでもないんです」


あなたの、その笑顔を壊してしまうかも知れない。
怖くて、伝えるのをやめた。
失うのは、とても・・・とても怖いから。


「永泉さん?」


あなたは、心配そうに私を見つめる。
私が・・・私が、あなたをそんな顔にさせてしまったのでしょうか。
あなたから笑顔を奪っては、いけないのに。


「神子。やはり、お話をさせてください」


私は、新たな決意の元に・・・想いを告げる。


「わ、私は・・・あなたが・・・」


上手く言葉にする事が出来ない。
自分に、強いもどかしさを感じる。


「あなたが・・・」


私は、強い決意で・・・告げる。


「あなたが好きです」


想いを、告げてしまった。
あなたの笑顔を奪ってはいないだろうか。
怖くて、あなたの顔を見ることが出来ない。


「私もです、永泉さん」


下を向いていた私の頭上から、あなたの声が聞こえた。
私は、慌ててあなたの顔を見る。
あなたは、今まで見たことのない様な笑顔で笑っていた。


【完】






急に、永泉さんのじれったさが書きたくなりました。
「呪詛」を書いていて思ったので、次は!!と決めてました(050330)
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