35. すれ違い −誰よりも愛しているのに−
君の事を、愛している。
その気持ちに、嘘偽りは無い。
けれど・・・何故か君とはすれ違ってしまう。
「こんなにも愛しているのに」
互いの想いが強すぎて、逆に磁石の様に反発しあう。
「あかね」
暖かな日差しの中、爽やかな風が吹く。
空は青く澄み渡り、雲はそっと流れていく。
「あかね」
私は何度も、彼女の名を呼ぶ。
どうか、同じこの空の下に居るのならば・・・
私の呼び掛けに、答えてくれ。
「あかね」
私は、君の名を何度も何度も呼び続ける。
その間にも、目の前に広がる景色が移り変わっていく。
「どうして、答えてくれないのか」
こんなにも、君に会いたいのに。
「・・・友雅さん?」
私の背中から、愛しい君の声が聞こえた。
君の声を聞くのは、どれくらいぶりだろう。
そんな事を考えながら、私は振り返った・・・
「・・・あかね」
私は、振り返るなり君を抱きしめた。
強く・・・強く、抱きしめた。
とても小さな君が、壊れてしまわないだろうか。
ふと、そう思って・・・抱きしめていた力を弱めた。
「あかね、ずっと君の事を呼んでいたんだよ」
「・・・私もです、友雅さん」
君の瞳から、一筋の涙が零れ落ちた。
「愛しているよ」
君の涙をそっと拭う。
「これからは、もう君を離さない」
ずっと、すれ違っていたけれど・・・
心は強く結ばれたまま、離れてはいなかった。
【完】
これから友雅さんは神子を大事にして、閉じ込めてしまうかもしれません。
神子は鳥篭に囚われ、小鳥の様に暮らす姿が見えました。違うと思いますが;;(050512)