暑い夏・・・・・ まぶしい太陽・・・爽やかな青空・・・ 人々のにぎわい・・・楽しい思い出・・・ 夏の祭の、二人の幸せな一時。 ![]() 「あかね、夏祭に行こうか」 友雅は突然、あかねにそう言った。 「は、はい。もちろん行きますっ」 一緒に行きたいな。と前々から思っていたあかねは、 友雅のその問いに、悩む事なく笑顔で即答した。 「嬉しいね」 あかねの嬉しそうな笑顔の返事に、友雅も心から喜んでいた。 「急ですまない。他に約束があったら、どうしようかと思ったよ」 そう・・・夏祭の開催は今日であった。 本当に、突然のお誘いだったのだ。 「本当はもっと早く来たかったんだが・・・」 仕事が忙しくてね。そう友雅は続けた。 「い、いえ。大丈夫です」 あかねは、友雅に微笑みかけながら答える。 本当に・・・本当に嬉しかったのだ。 突然でも、誘ってくれた事が、 嬉しすぎて、泣きそうになってしまうほどに。 その気持ちを友雅に伝えると、 友雅の方も、嬉しそうに微笑みかえす。 「本当に嬉しいよ」 そう言って、あかねの手にそっと触れた。 「行こうか」 「はい」 友雅はあかねの手を引き、祭へと向かった・・・・・ * 「わあぁ」 夏祭の行なわれている神社に着くと、あかねは声をあげる。 そこは大勢の人々で賑わい、ごった返していた。 そんな光景を目にしたあかねは、とても感激していたのだ。 「京の祭りは初めてだろう?」 はい。友雅の問い掛けに、あかねはそう答えた。 「今日は祭を楽しもうね」 二人は夏祭を、心から楽しんでいた。 時はあっという間に過ぎ、もう日が暮れていた。 「あかね」 友雅はあかねを呼び止める。 そして突然、振り向いたあかねにそっと口づけをした。 まるで、周りの人々の時間だけ動いていて、 そんな幻想的な空間になっていた。 「君はとても綺麗だよ」 友雅はそう言うと、再びあかねに口づけた。 それは、何度も・・・何度も、甘く優しく続けられた。 その後ろでは花火が打ち上げられ、夜空に大きな花を咲かせている。 「今日はとても楽しかったよ。君もそうだろう?」 「もちろんです」 あかねは頬をほのかに赤く染め、そう答えた。 まだ、口づけの余韻がほんのりと残っていたのだ。 その時、友雅が・・・・・ 「君が本当に愛しいよ」 そう言った。 暑い、暑い夏・・・・・ 眩しい太陽、爽やかな青空、愛しい君の笑顔。 すべてが、この夏の一日に。 君と二人で過ごす・・・二人だけの夏祭・・・・・ 【完】 |